ひとりぼっちのさくらんぼ


(……これかな?)



高田くん、よく見ているなぁ。

嬉しいなぁ。






それから。

高田くんは、あたしによく話しかけてくれるようになった。



授業の合間の休み時間に、
「今日ってさー、予習してきた?」
とか、
「さっき、オレの腹が鳴ったの聞こえちゃった?腹減ったわー」
とか、
「天気良いよねー。だからかな?眠いわー」
とか、本当に何でもないようなひと言をくれるだけなんだけど。



あたしには、すごく嬉しくて。

休み時間を楽しみに待つようになった。






昼休み。

今日は珍しく、ほとんどの人が教室でお昼ご飯を食べている。



窓の外を見ると、木の葉が舞っている。

やっぱりね。

寒いと思ってたんだ。



あたしは食べ終わったお弁当に向かって両手を合わせ、「ごちそうさま」と心の中で唱えた。



机の引き出しからノートとペンケースを取り出す。

小説のことを考えよう。