ひとりぼっちのさくらんぼ


「あ、やっぱりこういうの、好き?」
と、高田くんはホッとしたような表情を見せる。



「好きそうだなってなんとなく思ったんだよね。良かった」



「あの、でもさ、あたし……、消しゴムを半分に切って渡しただけなのに」



あたしは手のひらの中の消しゴムを高田くんに返そうとした。



高田くんはそんなあたしにブンブン首を振って、
「受け取ってよ。ほんの気持ちだけど、マジで昨日は助かったんだから」
と、自分の席に座った。



「……あ、ありがとう」



素直に受け取ることにした。



そのまま、消しゴムをペンケースに入れる。



高田くんはこの消しゴムを、どこかのお店で買ってくれたんだろうな。

しかも。

ちゃんとあたしの好きそうなものを選んでくれたんだ。



(大事にしなくちゃ)




あたしは携帯電話にじゃらじゃら付いている、ストラップの束に視線を移す。

赤い縞々模様の、リボンのストラップが目に入った。