ひとりぼっちのさくらんぼ


そういえば次の日本史の授業は小テストがあるんだった。

しかも点数が低いと、補習に行かなくちゃいけない。



あたしは今日の授業のノートを取り出し、覚えておいたほうがいい人名、出来事など、別の紙に書き出した。

その時。

漢字を書き間違えて。

消しゴムを探す。



ペンケースの中の消しゴムを、とても小さく感じた。

高田くんの真っ白な歯を思い出す。



「いい人だったな」



ありがとうって言ってくれた。

あたしの派手な恰好じゃなくて、目を見て話してくれた。

優しく笑ってくれた。



「また話せるといいのにな」



思わず呟いた言葉に、自分で驚く。






翌日。

県立A高校。

二年六組の教室。



あたしはいつものように席に座って、携帯電話をいじっていた。

【写真フォルダ】の中の空の写真を眺める。



(そういえば最近、空の写真を撮ってないなぁ)



また撮りたいな、と思っていたら。