市原さんはわけがわからない表情で、
「あなた……、カフェの?」
と、女性店員を見た。



それから周りを見回して、
「すみません、オレはこれで」
と、お姉さんのほうへ近づいた。



お姉さんのそばに来た市原さんは、
「上条さん、大丈夫?何もない?」
と、聞く。



女性店員はそんな市原さんをじっと見つめていて、だけど、何の感情なのかわからない表情をしている。

それが逆に怖さを増す。



「市原くん、あの人が書き込みの人だよ」



お姉さんが早口で伝えると、市原さんは驚いた目をした。

それから素早い動作で、女性店員からお姉さんを背中に隠した。



それを見ていた女性店員は、醜く口角を上げる。



「何、それ」
と呟いて、市原さんのそばに寄る女性店員。



「私以外を見ないで」



女性店員の目が据わっている。



「あなたには、私以外の女なんか要らないの!」
と、市原さんの胸をこぶしで叩く。



「ずっと私のことだけ見てよ!!私しか見ないで、朝日くんっ!!」



ほとんど叫んでいる女性店員。