お姉さんは「大丈夫です」とだけ答えて、市原さんのほうへ視線を走らせる。 「犯人なの?あの人」 お姉さんの問いかけに、あたしはうなずき、 「あのカフェの店員だよ」 と、答えた。 女性店員は市原さんがいる時刻表の前まで行くと、市原さんをぎゅっと後ろから抱きしめた。 市原さんは驚いて振り返り、 「えっ!?あ、あの……」 と、女性店員から離れた。 あたしは危険を感じて、 「危ないよ!市原さんっ!」 と叫んだけれど、市原さんにあたしの声が届くはずがなかった。