ひとりぼっちのさくらんぼ


「出て来てもらってごめんね」
と、市原さん。



「ううん、大丈夫。でも、家に来てくれても良かったんだよ?どうしたの?」

「今、上条さんの家に行くのは危険かなって」

「え?」



市原さんは声を落として、こう続けた。



「調べたんだ、上条さんに聞かれたこと。何の服を着て、どこに出かけたのかは、さすがに覚えてなかったけれど」



あたしとお姉さんは、ごくりと生唾を飲んだ。



「オレ、持ってたんだ。青いストライプのシャツも、深緑色のTシャツも、……他にも上条さんに調べてって言われた洋服」



(やっぱり)



あたしは市原さんを見つめる。



(この人の近くにいる人間が、犯人だ)



「それで、聞かれた日付にどこに行っていたかは、スケジュール管理しているアプリでわかるなって思って調べたら」



市原さんは言葉を切って、一度、深呼吸をする。

それから意を決したように、続きを話した。