ひとりぼっちのさくらんぼ


あたしは思わず黙ってしまう。



「無茶はしないでね」



念を押すように言うお姉さん。

でも。

あたしは、返事が出来なかった。






そんな時。

お姉さんのスマートフォンに着信があった。



「……もしもし、市原くん?」




あたしも素早くお姉さんの隣に行く。



『上条さん、おはよう。……今、大丈夫?起きてた?』

「うん。大丈夫だよ。どうしたの?」



市原さんが、緊張した声を出す。



『あの、今から会える?……どこかで会えないかな?』



市原さんの様子がおかしい。

何かあったんだ。



お姉さんも異変を感じたらしく、
「どこへでも行くよ。どこがいい?」
と、返事した。








お姉さんとあたしは、市原さんと待ち合わせした家から近くの公園に着いた。

市原さんの姿を見つける。



「市原くん」



お姉さんが声をかけて近寄ると、市原さんはホッとしたような笑顔を見せた。