あたしが見ようとしたら、自然な動作でお姉さんに阻止(そし)された。



「こんな悪意のある、嫌がらせみたいな書き込みをされる覚えなんか無いんだけど……、でも、コレ、勘違いじゃないのかなって」



市原さんはスマートフォンを片付けてしまう。



(何が書いてあったんだろう?)
と気になるけれど、まぁ、およその想像はついた。

あたしみたいな、未成年の子どもに見せたくないような、暴言とか……、とにかくひどい言葉なんだなって。



「どうして勘違いじゃないのか、市原さんに聞いてみて」
と、お姉さんに伝える。



あたしの代わりにお姉さんが尋ねる。




「……ひとつだけ、オレだなって思う特徴が書かれていて……」



そう言った市原さんは、左手首をテーブルの上に見えるように出した。



「見て。腕時計のすぐ横。手の甲の手首に近いところ」



そこには、小さなアザがあった。



「コレ、生まれつきなんだ」
と、市原さん。