数日後の夜。

市原さんがお姉さんの家にやって来た。



今日はスーツを着ていて、いつもより一層、「大人」な市原さん。

落ち着いて見えるっていうか。

若干老けて見えるっていうか。



リビングに入ってきた市原さんは、キッチンに立って「何か飲む?」と尋ねるお姉さんのそばに行き、後ろからそっと抱きしめた。



「わっ、ど、どうしたの?」

「うん、ごめん。ビックリさせたよね」

「……なんか、元気ない?」



お姉さんは市原さんの腕の中で振り返り、市原さんと目を合わせた。



「上条さん、何か変わったこととかあった?」



市原さんの質問返しに、お姉さんは少し考えてから、
「ううん。何もないよ。大丈夫。市原くんは?」
と、心配そうな声。



「……うん。ちゃんと話す。でも、その前に充電させて」



市原さんはぎゅうっとお姉さんを抱きしめて、頭のてっぺんにキスした。

それからおでこ、耳、首へと、キスは続く。