「あぁ、アレね」
と、徹さんは嬉しそうに話す。
「昔、会社勤めだった頃に、おみくじ引いたんですよ。すごくつらい時でね。そしたらおみくじが凶だったんです」
「えっ」
「もうダメだ、オレには運も無いんだってミホに話したら、あいつが言ったんです」
「?」
「それ以上悪くなりようがないじゃない、これから運だって上がる一方よ!って」
徹さんは懐かしそうな目をする。
「それで踏ん切りがついたって思って。じゃあ、やりたいことやるぞって。会社辞めて、ずっとやりたかった店を開いて」
「すごい……」
と、お姉さんの目が少し輝く。
「店名どうする?って時に、背中を押してくれたおみくじでいいなって」
徹さんが言うと、背中からミホさんが、
「私だけどね!背中押したの!」
と、笑っていた。



