ひとりぼっちのさくらんぼ


「そうなんだ、食べるの楽しみだなぁ」



市原さんはキノコとチーズのクリームパスタと、オニオンスープのセットを頼んで、お姉さんはトマトとバジルとベーコンのパスタを頼んだ。



注文を取りに来たのはミホさんではなく徹さんだったので、お姉さんはまた自己紹介していた。



「朝日はもう、弟みたいな感じなんですよ。まぁオレは、こんなシュッとした顔立ちはしてないけれど」



徹さんは豪快に笑って、
「でも、朝日が女の子と一緒に来るのは初めてだな」
と、市原さんを小突いた。



その時、お姉さんが何か浮かない顔をしていることに、あたしは気がついた。



「お姉さん?大丈夫?」



出来るだけ声をかけないようにしていたけれど、心配だった。

お姉さんはあたしだけにわかるように小さくうなずく。



「そういえば、店名がOmikujiって……?あの、おみくじですか?」



お姉さんが徹さんに尋ねる。