お姉さんと市原さんのごはんは、土曜日の昼間に約束された。
「ランチに行くんだね?」
あたしはお姉さんに確認する。
目の前には、令和元年のファッション雑誌。
これはお姉さんに買いに行かせたもの。
ちゃんと読者層が三十代の雑誌にしてよ、と念を押しまくった。
「そう、ランチ……。なんか、美味しいお店を知っているんだって。そこでいい?って確認もしてくれた」
「いいじゃん。行きたいお店、どこ?って聞かれても、あんまり知らないもんね?あたし達」
お姉さんはうなずく。
「決断力もないもんね。今までもどこに行きたい?とか、何がしたい?って彼氏に聞かれて、困ったなぁ」
「……困っている自分が想像できる」
ふたりで苦笑いをしたあと。
お姉さんが「それで……」と、ファッション雑誌を手にした。
「これで研究しろって?当日に何着るかってことだよね?」
「本当は何着ててもいいけどさ。お姉さん、自信無いでしょ?」
「うっ!」