「関係……ない?」

「そう。一旦忘れようよ。だったら行けるでしょ?」



お姉さんはいつの間にか涙目になっている。



「J Kちゃん、私、市原くんを前にして、この想いを忘れられそうにない」

「お姉さん」

「ずっと好きだった気持ち、忘れられない。……どうしよう、どうしたらいい?私、市原くんのこと、きっとずっと忘れられない」



あたしはひとつ、深呼吸をした。

それからお姉さんの両頬をペチンと、あたしの両手で乱暴に挟むようにたたいた。



「じゃあ、行きなよ!!つべこべ言わずに、ごはん行ってきな!!」



思ったより低い声が出た。

でも。

そんなこと、今は構ってられない。



「ひとりぼっちがつらいんでしょう?寂しいんでしょう?お姉さんは今、ここで。この瞬間で!孤独から抜け出す努力をするべきなんだよ!!」




「J Kちゃん……」



お姉さんの目から涙がこぼれた。



「痛い……」



「あ、ごめん」と、あたしは両手を離す。



お姉さんは涙を拳でぐいっと拭いて。



「わかった、行く」
と、呟いた。