「市原くんは、すごいんだよ。私にとって、ヒーローみたいな人」 「ヒーロー?」 お姉さんは少女みたいなあどけない表情で、こう続けた。 「だって、私なんかに話しかけてくれるんだから」 あたしは思わず、お姉さんを抱きしめた。 寂しくて。 寂しくて。 ものすごく、可哀想だったから。