ジリジリと太陽の光が照りつける砂浜で、俺はビーチチェアに寝そべっていた。

…はぁ、気持ち良い。

海水浴なんて、覚えている限り初めての経験だが。

悪くないもんだなぁ。

これなら、もっと早くに思いつけば良かった。

「はぁ、最高の気分…」

黒いビーチチェア、黒いビーチサンダル、黒いサングラス。

そして、この日の為に特注した…黒いゴスロリ水着。

これなら、俺の愛しの恋人もイチコロですよ。

好きな人の水着姿を見て、興奮しない者はいないだろう。

やっぱり、今日ここに来て良かった。

『青薔薇連合会』の幹部仲間を誘って、海水浴の企画を立てたのは先週のこと。

きっかけは、皆大好き『frontier』がキャンペーンモデルを務めた、ファッション雑誌の新作水着特集だった。

この仕事の依頼を受けたのは、他でもない俺である。

成程、ルトリアさん達に水着を着せたら、間違いなく売れると踏んで、ゴーサインを出したのだが。

俺の見立ては間違っていなかったようで、『frontier』がモデルを務めた、今年の新作水着は。

あちこちで品切れ続出、かつてないほどの好調な売れ行きだそうだ。

恥ずかしがりまくっていたルトリアさんを言いくるめ、水着を着せた甲斐があったものだ。

…で、その雑誌を眺めていたところ。

びびっと、頭の中に天啓が降ってきた。

「水着=海=デートスポット=イチャイチャ」という連想ゲームが、一瞬にして俺の頭に思い浮かび。

思い立ったが吉日とばかりに、俺の愛しい恋人に声をかけてみたところ。

「お前の水着姿なんて、絶対見たくない。断る」という、嬉しい快諾の言葉をもらい。

じゃあ折角だから、他の幹部組も誘ってみようということで。

皆に声をかけてみると、「面白そうだから行こうか」と、こちらも喜んで快諾。

満場一致で、楽しく海水浴にやって来た。

俺の恋人はシャイなので、「いや、行かないって言っただろ。何で勝手に俺もメンバーに含まれてるんだ!」と可愛いことを言っていたけれど。

シャイな彼が素直になれるよう、同僚のスナイパーに麻酔弾を撃ち込んでもらおうと思ったら。

何かを諦めたかのような顔で、快く海水浴に付き合ってくれた。

やっぱり彼も、海水浴が楽しみだったんでしょうね。

…そんなこんなで、皆で海水浴にやって来た。

当然ながら、ここは『青薔薇連合会』所有のビーチ。

よって、本日は俺達の貸し切りである。

見渡す限り一帯、全て『青薔薇連合会』の所有物。

誰に邪魔されることもなく、思い切り楽しめるというものだ。



…そんな訳なので。

そろそろ、一大イベントと行こう。

俺はむくっと起き上がって、隣のビーチチェアに寝そべっていた、愛しい恋人の名前を呼んだ。

「…ルルシー」

「何だ?」

「日焼け止め塗ってください」

「嫌だ」

即答してくれるんだもんなぁ。

これも、溢れんばかりの愛の証という奴である。

…にゅふ。