「はー…っこいしょっ」
「おじさんくさーっ!」
「お前、バイト終わりの昴さんをつかまえて公園に連れてきてること忘れんなよ。オヤジくさい声も漏れちゃいますよ…。ちなみに明日は早番ですよ。」
「あー…ごめん…。」
昴が最近バイトを増やしたことを思い出して千珠琉は申し訳ない気持ちになり、しゅんとしてしまった。
「いや、冗談だって。このくらい全然負担でもなんでもないっス。」
昴が慌てて千珠琉の頭をポンポンと軽く叩いた。千珠琉は安心した顔で昴を見た。
「っス、って。誰!」
あはは、と千珠琉が笑い昴もホッとする。
「ねえ昴、最近バイトいっぱいやってるね。何か欲しいものでもあるの?」
ここ最近、ずっと気になっていたことだ。

「………。」

(え…)

思わぬ沈黙に千珠琉の胸が(ざわ)つき、表情(かお)が固まる。