「チズ、今“もしかして昴って朱代さんの再婚に反対してるのかも”って思っただろ。」
「う…」
千珠琉の声真似も交えて見透かすように言われてしまった。
「…ちょっと思いました…。」
気まずそうに上目遣いに昴を見た。
「本当に顔に出るな、チズは。」
そう言って昴は笑った。
「それは全然ないよ。親父が死んでまだ三年だけどもう三年て感じだし、朱代さんには朱代さんの幸せな人生を生きてほしいって本気で思ってる。」
昴は淡々と話す。
「朱代さんの再婚相手も良い人そうだしね。まぁ“父さん”て感じは別にしないけど、俺ももう17だし東京行って大学入ったら一人暮らしするつもりだし、朱代さんのパートナーとして良い人ならそれでいいよ。」
「ふーん…そんなもんかぁ。」
東京に行ったその先の話に胸がキュと音をたてた気がした。

「この辺でいいかな。」
坂の上の方に着くと昴が止まって空を眺めた。そこは公園でもないただの住宅街の道路だった。
「え?ここ?」
なぜわざわざこんな所で星を見るのか、理由が全然わからない。いつもの公園のほうがよっぽど落ち着いて見られる。
「まあまあ。チズ、後ろ乗って。」