「慎之介に告られたって聞いたけど。」
ブランコに腰掛けた直後、いきなり言われて何故かギクッとしてしまう。
「う、うん。急にびっくりだよね。」
「なんて答えんの?」
昴の矢継ぎ早な質問に千珠琉は少しイラッとした。
「今考えてるよ。昴に関係なくない?」
(自分は七瀬先輩と付き合うって知らない間に決めたくせに。)
昴は立って緩やかにブランコを漕いでいる。
「まあ関係ないけど。」
「………。」
「関係ないけど、七瀬先輩と別れた。」
「———え?」
なんで今それを言うのか、なんで別れたのか、一瞬で「なんで?」が渋滞する。
「千珠琉、父さんが死んだ時「私の願い事は叶わない」って言ってたじゃん?」
「え、うん…」
唐突な話題に戸惑う。
「願い事って口に出したら叶わないらしい。この前テレビで言ってた。」
「えっ!そうなの!?」
昴の発言に驚いて思わず大きな声を出す。
「だから俺と七瀬先輩が別れるのも当たり前だし、チズも慎之介と付き合わないよ。」
「…ん??なんで?」
「七瀬先輩も慎之介も、付き合いたいって声に出して願ったから。」
全く根拠がなく、昴は七瀬先輩と一瞬でも付き合ったのだから筋も通っていない説明だったが、本心では永井の告白は断りたかったし、昴と七瀬先輩が別れたと聞いて嬉しくてそれで良いと思ってしまった。
「チズは本当にくるくる表情が変わるな。」
昴が呆れたように笑った。

そうして二人は今まで通り、彼氏彼女のいない幼馴染に戻った。