二度目の好きをもらえますか?

 門扉を出てからずっとブーたれる私を見て、賢ちゃんが宥めた。

 パステルピンクに黒猫が描かれたお気に入りの傘へ、パラパラと滴が跳ねて流れる。

 可愛い傘に癒されて、少しだけ気分を良くした。傘の持ち手をクルクル回しながら私は隣りに声を掛けた。

「ねぇ。バイクに乗るってどんな感じ?」

「どんなって」

「例えば風になる、みたいな」

「んー」と差した青い傘を見上げ、賢ちゃんが曖昧に首を傾げる。

「それ近いかもな。とにかくスカッとする!」

 そう言って笑った顔が脳裏に焼き付いた。雨の日に、晴れを予感させる笑顔だ。

 このごろの賢ちゃんを見ていて、たびたび思う。こんなに笑う人だったのか、と。

 そう気付くと、転校して暫くの間続いたあの無視は、やっぱりわざとだったのだ。

 子供の頃の告白(黒歴史)を思い、私と関わり合いになりたくないとそう思っていたんだろう。

 それでも、賢ちゃんは変わった。

 同じクラスで、席がお隣りだった時期もあり、家も隣り同士。この環境に観念したからかもしれないが。

 私がそうであったように、賢ちゃんの失恋を私が癒してるんだとしたら……嬉しいな。


「……わぁ」

 夜の帳が下りた頃、雨は上がっていた。