二度目の好きをもらえますか?

「てっきり彼女に会いに行った帰りにバイクで事故ったのかと思ったよ。
 だって大谷くん、寝る間も惜しんで会いに行くとか無謀すぎるしさ」

「……」

「まぁ、元々が一途な性格だから、きっと思い込んだら真っ直ぐな人なんだと思うけど」

「……そうでもない」

「え……?」

 その否定はどこにかかるんだろう?

 別に無謀じゃないってところ? それとも一途じゃないって……。

「……フラれた」

「何が?」

「カノジョ。他に好きな奴が出来たんだと」

「……え」

「俺は重いんだって」

「……うそ」

「……。何で嘘つくんだよ」

「だって、そんなの変だよ。引越して、遠距離になっても週四ぐらいで会いに来てくれるのに、何で重いの?」

「知らね。……つか、別にいんだよ」

「……? 何がいいの?」

「ヒトの気持ちなんてどうこう出来るもんじゃないし」

「……でも」

 納得がいかない。

 第三者の私には全く関係のない話だが、どうしてか胸の内のモヤモヤを無視できない。

 一生懸命行動した結果がそれなんて、あんまり過ぎる。

 経験上、一方通行の恋ばかりで、両思いになった事など一度も無いのだが、言いようのない理不尽さを感じていた。

「私は……。いいと思うよ」

「は?」

「そんな一途に誰かを好きでいられるところ。賢ちゃん、行動力あるしさ、羨ましいよ」

 ポツポツと話す私をジッと見て、大谷くんはやはり呆れた目をしていた。