二度目の好きをもらえますか?

「彼女に会いに行った帰りに事故したの?」

「……違う」

「え?」

 思いもよらない否定に面食らっていると、大谷くんは面倒くさそうにため息をついた。

「言っとくけどな、ゆうべはバイク出して無いから」

「……あ、そうなんだ? じゃあ、何で……」

 事故に繋がった原因をニュアンスとして尋ねると、大谷くんは顔をしかめて嘆息した。

「夜、ぶらっと出て行って信号待ちしてたら、そばにいた子供が親の手を離して飛び出して……気付いたら救急車に乗ってたんだよ」

 それじゃあ。子供をかばって……?

「そうだったんだ……」

 バイク事故じゃ無かったと聞けて幾らか安堵した。

「ちなみに、その子供は?」

「状況がどうだったのかは覚えてないけど、今朝その子のお母さんがお礼に来て……。すり傷程度だったって」

 そっか、と相槌を打ち、ふっと頬が緩んだ。

「凄いじゃん、大谷くん。ヒーローみたい」

「……。うるせ」

 言いながらひと睨みされるけど、照れているのが丸わかりでちっとも怖くない。

「そっかぁ〜」と天井を仰ぎながら息を吐く。