それから五分少し経った頃、おばさんが戻って来て、再び彼の病室へ向かう事になった。
病室を開ける時になって、「彩月ちゃん」と声を掛けられた。
びっくりして取手に触れようとした手が微かに震える。
「おばさんね、このまま買い物して一旦家に帰らないといけないから、賢二と話してあげてね?」
「え。……あ、はい」
忙しいんだなぁなんて思いながら無言で引き戸を開けてしまい、ムッとした表情の大谷くんと目が合った。
「あのな、ノックぐらいしろよ」
「……あっ! ごめんっ」
慌てて扉を閉めて、コンコンと扉を叩くと「やり直さなくていいから」と呆れた声が返ってくる。
「お邪魔します」
ひっそりと肩をすぼめ、遠慮しながら部屋に入った。
大谷くんは元気そうだった。頭に白い包帯が巻かれ、左腕は骨折しているのかギプスをはめているので確かにひと目見て怪我人と分かる状態だが、顔色は良い。
私は彼を見て、わけもなく安堵した。
「思ったより元気そうで良かったよ」
気付いたらそう言っていた。
「なんだよ、心配したのかよ?」
大谷くんは少し恥ずかしそうに唇を尖らせ、そっぽを向いた。
病室を開ける時になって、「彩月ちゃん」と声を掛けられた。
びっくりして取手に触れようとした手が微かに震える。
「おばさんね、このまま買い物して一旦家に帰らないといけないから、賢二と話してあげてね?」
「え。……あ、はい」
忙しいんだなぁなんて思いながら無言で引き戸を開けてしまい、ムッとした表情の大谷くんと目が合った。
「あのな、ノックぐらいしろよ」
「……あっ! ごめんっ」
慌てて扉を閉めて、コンコンと扉を叩くと「やり直さなくていいから」と呆れた声が返ってくる。
「お邪魔します」
ひっそりと肩をすぼめ、遠慮しながら部屋に入った。
大谷くんは元気そうだった。頭に白い包帯が巻かれ、左腕は骨折しているのかギプスをはめているので確かにひと目見て怪我人と分かる状態だが、顔色は良い。
私は彼を見て、わけもなく安堵した。
「思ったより元気そうで良かったよ」
気付いたらそう言っていた。
「なんだよ、心配したのかよ?」
大谷くんは少し恥ずかしそうに唇を尖らせ、そっぽを向いた。



