二度目の好きをもらえますか?

 登校する私に気付いて「行ってらっしゃい」と声を掛けてくれたりもする。とても感じの良いおばさんだ。

「お見舞いに、来たんですけど。クラスのみんなと約束したわけじゃないから……何となく入りにくくて」

 そう、きっと見舞う相手が女子なら何も思わずに入れたはずなんだ。

 男女の隔たりというものが、いつも私を臆病にさせていた。

 すぐ隣りに座ったおばさんは、ふふふと笑い、なるほどねぇと首肯している。

「ねぇ、彩月ちゃん」

「あ、はい」

「賢二がこっちの小学校に通ってた頃、あの子が大好きだった“さっちゃん”よね?」

 おばさんの話を聞きながら、自分の顔が真顔になるのが分かった。

 確認するような彼女の温かい眼差しを受けて、私は恥ずかしいながらもコクンと頷いた。

「そう、やっぱり。もう七年も前の事だから、おばさん名前がうろ覚えだったんだけど。またこっちに越してきた時に気付いたのよ」

 気になっていた事の答えが聞けたと言わんばかりに、おばさんは胸を押さえ、「ああ、スッキリした〜」と愛嬌じみた笑みを浮かべた。

「でも、それは本当に昔の事です。
 現に転校初日、大谷くんから好きじゃないからなって言われてるので」