二度目の好きをもらえますか?

 何となく単身では入りにくい空気がありありと漂っていて、私は病室の外で固まっていた。

 言い知れぬ寂しさを覚えた。

 出直そう……。

 一旦その場から離れて、患者さんや見舞客がくつろぐデイルームに向かった。

 なにやってるんだろう、私。

 行動力がないのは自覚しているが、気持ちは暗く、打ち沈んでいた。

 空いた席に腰を下ろし、通学鞄を足元に置いた。

「あら……、彩月ちゃん?」

 え。

「やっぱり。お隣りの彩月ちゃんだわ」

 声を掛けられて振り返ると、すぐそばに大谷くんのお母さんがいた。手に花瓶を持ち、腕に花屋さんで買ったと思われる生花を提げている。

「あ、あの。私……」

 学校帰り、お見舞いに来たはずなのに目的も果たせずにいるため、何と言っていいか焦った。

「賢二のお見舞い?」

 彼のお母さん、もとい、おばさんは首を傾げて笑い、一度洗面台へと向かった。手にした花瓶に水をいれ、花を生けてからテーブル席へと戻って来た。

 日頃から洗濯物を干したり、玄関まわりをほうきで掃除する彼女を見ているので、よく知っている。