二度目の好きをもらえますか?

 唇にほのかな感触を得て、呼吸が止まる。初めて感じる柔らかなそれに、私は放心したまま賢ちゃんを見ていた。

「これぐらいは清いの範疇(はんちゅう)だろ」

「っな、」

 得意そうに笑う彼を見て、わなわなと唇が震えた。顔全体が一瞬で熱くなり、私は彼を指差していた。

「不意打ちとは小癪(こしゃく)な!」

「はははっ、何とでも言え」

「だって私、ファーストキスなのにぃ」

 下唇を突き出して不満を吐露すると、「ああ、そっか」と軽く受け流された。

「私の猫ちゃん返して」

 未だに賢ちゃんの手にあるぬいぐるみに手を伸ばすと、何故かヒョイと(かわ)される。

「じゃあ今度はちゃんとするから」

「え?」

 賢ちゃんのしなやかな手が私の顎に触れて、クイっと持ち上げられる。

 再び彼の顔が近付き、心臓が跳ねた。何をされるのかを理解して、固く両目を閉じた。

 唇にさっきとは桁違いのぬくもりが降ってきて、甘く吸われる。私はされるがままに固まっていた。

 ぎゅっと口を結んだままでいると、やがてキスの感触がなくなり、薄目を開けた。

 賢ちゃんの黒目に私の顔が映っていて、また体温が上がる。キュンと胸が締め付けられた。そのままおでこにキスをされる。

「好きだよ、彩月」

 耳元で囁く声に、テロだ、と。密かに思った。


 〈 了 〉