二度目の好きをもらえますか?

「ああ……彩月って黒猫グッズ好きだもんな」

「あっ、気付いちゃった?」

 照れをごまかすため、わざとおどけて首を傾げる。

「雨傘にパジャマに部屋の時計……あと、この髪ゴムな」

 指折り数える賢ちゃんの手が、私の頭をポンと撫でる。

「おぉ〜っ、さすが彼氏氏(カレシシ)

「それやめろ」

 賢ちゃんは斜め掛けにしたボディーバッグから黒い財布を出し、ためらいもなく五百円玉を入れた。チャララーン、と機械音が鳴る。

「えっ、やるの?」

「おー、実はけっこう得意なんだぜ?」

「頑張って、賢二さま」

「うむ」

 1プレイ二百円、3プレイ五百円のUFOキャッチャーに私と賢ちゃんは夢中になった。

 獲得口を遮るようにプラスチック板が立っていて、黒猫の頭がそこにピタリとくっ付いている。

「バウンドか…」と呟き、賢ちゃんが慎重にアームを合わせた。

 一度目、賢ちゃんは標的(ターゲット)の頭の部分を持ち上げ、プラスチック板に乗せた。

 二度目は胴体部分を狙って、更に獲得口へとずらした。

 三度目も同じく胴体を狙い、大きく傾いたぬいぐるみがアッサリと壁を越えて落下した。