二度目の好きをもらえますか?

 昨日、雨はどうだっただろう?

 多分降ってないと思うけど、賢ちゃんが走った道も降らなかったとは限らない。

 普段からの寝不足がたたってバイクで転けたのかもしれない。

 冷静になって考えれば、大谷くんとそこまで親しいわけではないのだから、お見舞いに行こうなんて即決はしなかったはずだ。

 にも拘らず、私は休み時間に入るなり、先生に病室を尋ねに席を立っていた。


 *

 放課後になってから人並みの冷静さを取り戻した。

 流石に一人で行くのもなぁと思い、親友の麻衣子を誘うがあっさりと断られてしまった。

「そりゃあクラスメイトとして心配ではあるし、気の毒だとは思うけど……先生は大丈夫って言ってたし、そこまで仲良いわけでもないし。
 第一今日はバイトもあるしね?
 だから私はパス。行くなら彩月一人で行きなよ」

 だそうだ。

 確かに麻衣子の言うことはもっともな意見だ。かくいう私も隣人って事と隣りの席のよしみで気にかかる程度だと思う。

 けれど、多分。

 寝不足になりながらもバイクで出て行っていた事情を知ってるからこそ、心配になるのだ。

 三階北病棟の303号室に彼はいた。

 クラスの男女数人に囲まれて、ほとんど見たことのない愛想笑いを貼りつけている。