爛々と目を輝かせる私を見て、賢ちゃんがヘルメットの目の部分を下げた。唸るような音を鳴らし、バイクが走り出す。
気を付けてね、と言葉を添えて私は彼に手を振った。
「彩月ちゃん」
ん?
すぐ近くで名前を呼ばれて振り返る。
賢ちゃんちの玄関扉からおばさんが顔を覗かせている。ちょいちょいと手招きされて、私は遠慮がちに門を押した。
「急に誘っちゃってごめんなさいね」
リビングに通されて、ソファーに腰を落ち着けた。目の前のローテーブルに、オレンジジュースで満たしたグラスが置かれる。どうも、と会釈を返した。
「賢二にね。オレンジジュースをいつも買っておくようにって言われてるのよ? 彩月ちゃんの好きなものなんでしょう?」
「……あ、はい」
前に催促した事を思い出し、幾らか申し訳ない気分になる。
いただきます、と口にしてグラスを持ち上げた。瑞々しい酸味が口いっぱいに広がって幸せな気持ちになる。
「あの子ね。彩月ちゃんとお付き合いしてから毎日すごく機嫌がいいの。この間なんか、鼻歌まで口ずさんじゃって」
「え、そうなんですか!」
あの賢ちゃんが、と思うと可愛く思えてくる。意外だ。
気を付けてね、と言葉を添えて私は彼に手を振った。
「彩月ちゃん」
ん?
すぐ近くで名前を呼ばれて振り返る。
賢ちゃんちの玄関扉からおばさんが顔を覗かせている。ちょいちょいと手招きされて、私は遠慮がちに門を押した。
「急に誘っちゃってごめんなさいね」
リビングに通されて、ソファーに腰を落ち着けた。目の前のローテーブルに、オレンジジュースで満たしたグラスが置かれる。どうも、と会釈を返した。
「賢二にね。オレンジジュースをいつも買っておくようにって言われてるのよ? 彩月ちゃんの好きなものなんでしょう?」
「……あ、はい」
前に催促した事を思い出し、幾らか申し訳ない気分になる。
いただきます、と口にしてグラスを持ち上げた。瑞々しい酸味が口いっぱいに広がって幸せな気持ちになる。
「あの子ね。彩月ちゃんとお付き合いしてから毎日すごく機嫌がいいの。この間なんか、鼻歌まで口ずさんじゃって」
「え、そうなんですか!」
あの賢ちゃんが、と思うと可愛く思えてくる。意外だ。



