二度目の好きをもらえますか?

 賢ちゃんはバツが悪そうに、チッ、と舌打ちをついた。そのまま窓際まで離れていく。

「大谷って、けっこう嫉妬深そうだもんね〜?」

 麻衣子が楽しそうに追い討ちをかける。「だよなぁ!」と瀬川くんと高山くんが賛同する。

「この間もさ。私が彩月のお見舞いに行った時、偶然一緒になっちゃって。なんか不満そうだったもん」

「わかる、わかる」

 この間のお見舞いか……。

 確かに賢ちゃんひとり、ずっと無言だったし。すぐに帰ってたもんなぁ。

 あの時は悪い事をした。

 私はお弁当箱を片付けて、彼にすり寄った。ポンと背中に手を置いた。

「どんまい、彼氏氏(カレシシ)

「……。それ微妙だからやめろ」

「え〜、敬称だよ? 敬意を表して呼ぶ時、〇〇(まるまる)“氏”って付けるでしょ? だから彼氏氏!」

「もういいよ、カノジョ氏」

「あははっ」

「やっぱ言ってて微妙だー」

 賢ちゃんは窓際にもたれて項垂れる。片手で頭を抱えて、「すげースベった」と私の敬称にケチをつけた。

 賢ちゃんの彼女になってから、毎日が色鮮やかに煌めいている。