「……分かった」
カオリさんは沈んだ声で返事をし、俯きがちに賢ちゃんとすれ違った。
その直後から、私の存在に色が戻った。
彼女の濡れた前髪の隙間から、大きな双眼が覗き、キツく私を睨み付けていた。心臓を射抜くような迫力に怯み、私の体はビク、と強張った。
「邪魔っ!」
え。
やにわに突き出された彼女の右手にドン、と押され、私はその場に尻もちを付いた。ピンク色の傘が手から離れ、パシャン、と私の周りに飛沫が舞う。
「っ彩月!?」
まるで何事も無かったかのように、カオリさんは立ち去って行く。私は放心したまま、その姿を見送った。
「大丈夫か?」
慌てて駆け寄った賢ちゃんに、両手を引かれて立ち上がる。傘をなくした私たちは、言うまでもなくびしょ濡れだ。
濡れた地面にお尻を付けた私は、制服のスカートから下着から、すっかり水が染み込んでしまい、汚れていた。
ハァ、と彼が重いため息を落とし、私の手から飛んだ傘を、拾って差し出してくれる。
「……ごめん、変なとこ見せて」
「……あ、ううん」
て言うか、と続け、立ち去った彼女の背をつい指差してしまった。
「追い掛けなくていいの?」
カオリさんは沈んだ声で返事をし、俯きがちに賢ちゃんとすれ違った。
その直後から、私の存在に色が戻った。
彼女の濡れた前髪の隙間から、大きな双眼が覗き、キツく私を睨み付けていた。心臓を射抜くような迫力に怯み、私の体はビク、と強張った。
「邪魔っ!」
え。
やにわに突き出された彼女の右手にドン、と押され、私はその場に尻もちを付いた。ピンク色の傘が手から離れ、パシャン、と私の周りに飛沫が舞う。
「っ彩月!?」
まるで何事も無かったかのように、カオリさんは立ち去って行く。私は放心したまま、その姿を見送った。
「大丈夫か?」
慌てて駆け寄った賢ちゃんに、両手を引かれて立ち上がる。傘をなくした私たちは、言うまでもなくびしょ濡れだ。
濡れた地面にお尻を付けた私は、制服のスカートから下着から、すっかり水が染み込んでしまい、汚れていた。
ハァ、と彼が重いため息を落とし、私の手から飛んだ傘を、拾って差し出してくれる。
「……ごめん、変なとこ見せて」
「……あ、ううん」
て言うか、と続け、立ち去った彼女の背をつい指差してしまった。
「追い掛けなくていいの?」



