二度目の好きをもらえますか?

 賢ちゃんは緩めていた表情を急に固め、真顔になった。
 無言のまま幾らか(かが)むと、それまで足元に置いていた物を手に取り、私に差し出してくる。

「……あ」

 私の、ヘルメット。

 ピンク地の、お花の絵が描かれた可愛いヘルメットだ。

「そういうわけで、ちゃんと返したからな」

「……あ、うん」

 そのまま踵を返すので、私は思い切って声を掛ける。

「昨日っ、ごめんね?」

「は……?」

 賢ちゃんが振り返った。

「うちのお母さんが、なんか失礼な事、言ったみたいで」

「……っ」

 ビクッと肩を震わせ、彼は目を皿のように大きくした。

「お母さんが……お願いしたんでしょ? バイクに乗せないでって」

「彩月……、それ親から聞いたのか?」

「うん、偶然ね。お父さんと喋ってるの、立ち聞きしちゃって」

 昨日は立ち聞きの日だ。他の人の会話を二回も盗み聞いてしまった。

「……それで泣いたのか?」

「え」

「目が腫れてる。喧嘩したんだろ、親と」

 ……あっ。

 余りの恥ずかしさにパッと俯き、手にしたヘルメットで顔を隠した。