もしかして、“私の”ヘルメットを被るつもりじゃないよね? ピンク地の、お花の絵の……。
内心で暗い炎が揺れて、やり場のない苛立ちに胸が気持ち悪くなる。
できるだけ隣家を見ないように歩き、私は門扉に手を掛けた。
「……ねぇ」
え。
突然声を掛けられ、ついその相手を見てしまう。正門前で間近に見たカオリさんが真っ直ぐに私を見ていた。
「あなたさっき、賢二の隣りにいたよね? クラスメイトか何か?」
「……そう、ですけど」
「なに、隣りに住んでるの?」
初対面なのに、口調のキツい子だな、そう思いながらおずおずと顎を引く。
「……ふぅん」
目を細めて呟いたきり、彼女はつまらなさそうに私から目を逸らした。
ガチャ、と音が鳴り、隣家のドアが開く。
私服姿の彼を見て、ああ、と嘆息をもらした。
着替えていたから時間がかかったのか。こんな事なら交差点でもっと長く時間を潰せば良かった。
不意に当の彼と視線がぶつかり、ドキッと心臓が跳ねた。けれどもそれは数秒の間も置かずに、躱される。
ズキ、と心臓のどこかにヒビが入った。



