死グナル/連作SFホラー

あとがきです!




ー人の死ー



これこそ、ホラー作品においては、最強にして無敵のストーリー素材と言っていいのではないでしょうか



とは言え…



生きている人間が本当に恐れを抱く”死”というモノの存在は、漠然とした”死”そのものではないような気がするのです



であれば、いずれ自分が死ぬ時、そのピンポイント、その瞬間の苦痛とか…?



個人的には、それよりも、”人が死んだ後”の実際…



こう思えてならないのです



***



本作品の登場人物たちは、この世に生きている”ある人間その人”が、あの世に逝った以降の、その”顔”を目の当たりにしてしまいます



それはまさしく、現世に生を受けながらにして、最も目を背けたい”現場”を脳に宿してしまったことに他なりませんでした



本人の意図しないところで…



その像に映ったものとは…



それこそ、匂うような人の死後空間だった訳です




***




本作執筆時では、いわばその被験者となった4人の女性が、”それ”と対峙した4者4様を短編のオムニバスで書きおろすつもりでした



ですが、今回はプロット段階のストーリー展開、構成とも大幅に変更する結果となりまして…



実際は4話並列の短編集スタイルから逸脱し、各小編リレースタンスでの連作集5話構成へ変容させることになりました



なにしろ本作は、過去の執筆作品の中では一番肩ひじはらずに、さらっと書き綴れたので、完結後の”いじり”はほぼ皆無としたのです



結果、ホラーというより、SFになっちゃったかな…



まあいいかと…



これが本作完結を迎えた際の実感でした






遥陰ーハルカカゲー