拓海先輩についていき、校舎内を歩く。

 ただついていっているだけだけれど、今歩いている道を考えたら……私、今まで逆方向に歩いていたという事が分かってしまった。

 拓海先輩の言う通り、私って方向音痴……かもしれない。

 自覚をしてしまえば自分がどれだけ馬鹿なのかが分かって、不甲斐ないって思ってしまう。

 そんな私の気持ちを察したのか、先輩がこう声を上げてくれた。

「そこまで落ち込まなくてもいいよ。この学校複雑だし、俺だって未だに迷う事あるしさ。」

「そ、そうなんですかっ……?」

「うん、しかもしょっちゅう。」

 乾いた笑みでそう言う先輩に、驚きを隠せない。

 しょっちゅう……拓海先輩が迷うのなら、私じゃ絶対に戻れないという事が確定してしまった。

 だけれど、そう考えたらこの学校は、相当道を覚えるのが難しいという事だ。

 ……そういえば、どうして先輩はあの空き教室にいたんだろう。

 一瞬そう考えたけれど、すぐにやめる。

 もしかすると、私が突っ込んでいい内容じゃないかもしれない。