でも、きっと気にしなくてもいいのかな。

 だって、拓海先輩笑顔を浮かべているから。

 その言葉に深い意味はないって解釈しても……いい、よね?

「そういえば咲桜ちゃん、さっき道に迷ってって言ってなかった?」

「あ……そ、そうでした。私、道が分からなくてここまで来てしまって……。講堂まで戻りたいんです。」

「そういう事だったんだ。もしかして、方向音痴だったりするの?」

「み、道を覚えるのが苦手なだけで……ほ、方向音痴じゃないとは思います……。」

 た、多分……。

 道に迷っているって事は、方向音痴と同義なのかもしれない。

 じゃ、じゃあ私は方向音痴なのっ……!?

 ど、どうしてもっと早く自覚しなかったんだろう……やっぱり私、馬鹿だっ……!

「どうしたのそんな百面相してさ。俺もそろそろ戻ろうかなって思ってたところだし、一緒に行こうか。」

「!……あ、ありがとうございますっ!」

 拓海先輩、良い人だっ……!

 私は大きな声でお礼を言い、先輩に講堂まで手引きをしてもらう事になった。