「私は朝明(あさあけ)高校の京都咲桜です。」

「何年生?」

「一年生です。あの……副キャプテンさん、そろそろ手を……」

「副キャプテンさん、じゃないよ俺。覚えててくれたのは嬉しいけどね。」

 副キャプテンさんは苦笑しながらそう言い、私から手を離してくれた。

 それと同時に私の手から絆創膏を引き抜き、腕が見えるようにカッターシャツをまくり上げた。

 やっぱりだ……怪我、してる。

 露わになった副キャプテンさんの腕はたくましいけれど、怪我のほうに目が奪われる。

 擦ったような跡があり、簡単な処置しかしていないように見えた。

 バスケットだから、こんな怪我する事もあるんだよね……。

 副キャプテンさんなんだから尚更だし、早く治ればいいなぁ。

「咲桜ちゃん、俺は黎高二年の右京拓海だよ。俺のこと、ぜひ名前で呼んでくれたら嬉しいな。」

「じゃあ……拓海先輩、とかですか?」

「……ま、今はそれでいいよ。」

 今は……?

 ふくきゃ……じゃなくて、拓海先輩の言葉がよく分からなくて、はてなマークを浮かべる。