生まれ変わっても絶対、君しか愛さない。

 急いで笑顔を取り繕って、一歩後ろに下がる。

「あの……助けてくださって、ありがとうございました。では……」

 こんな素っ気ないお礼、どうかと思う。

 だけど何だか、ここにいると……彼といると、変な気持ちに苛まれる。

 もつれてしまいそうな足を何とか奮い立たせ、愛想笑いを浮かべながら彼と距離を取る。

「俺は暁槻雅(あかつきみやび)。君の名前も、教えてくれないかな?」

 え……と、驚く暇も与えられず、そう言われた彼の名前。

 暁槻、雅……って、もしかして……。

 ――暁槻グループ?

 暁槻グループとは、日本有数の資産家で凄く大きな会社。

 情勢をあんまり知らない私でも知っているくらいの、有名な企業。

 でも、この学校には暁槻って人はいないはず……。

 じゃあ、目の前にいる彼は……?

「私の名前は、京都咲桜……です。」

「京都さん、か。……じゃあ、またね。」

 彼は私の名前を復唱すると、身をひるがえしてどこかへ行ってしまった。

 どうしよう、彼についての疑問がまた一つ増えた。