《はぁ!?あんな奴と出かける約束したの!?》

「あ、あんな奴……。」

 その夜、私は一応立夏ちゃんに連絡を入れておいた。

 電話越しから聞こえた声に驚いて、スマホを取り落としそうになる。

 慌ててスマホを握りしめ直して、立夏ちゃんに苦笑いを零した。

 暁槻君、結構な言われようだなぁ……あはは。

 だけど私も、約束なんかして良かったのかなと思っている。

 だって出会ってから三日しか経ってない人と出かけるなんて、普通ならあり得ない。

 立夏ちゃんが心配してくれる理由も、分かる。

《やめときなって!あたし、あいつみたいな執着野郎嫌いなのよ。そのせいで咲桜に悪影響が出たらと思うと……心配どころじゃないわ!》

「し、心配してくれてありがとうございますっ。」

 私だって、ちょっと怖いと思っている。

 どうしてあんなに私と関わってこようとするのか、未だに分からないし。

 でも……理由は何であれ、私に関わってきてくれる人が新鮮だった。

 だから彼のことも知りたいと思って、きっと口走ってしまったんだ。