まさか……本当に来ていたとは。

 隣で歩く暁槻君をちらっと見て、すぐに視線を逸らす。

 やっぱり、考えてしまう。

 どうしてこんなかっこいい人が、私みたいな平凡女子と一緒に登校しているのかと。

 暁槻君の考える事が、さっぱり読めない。

 私は、人の感情とかに鋭いはずなのに……暁槻君の感情だけは、読めない。

 言葉を交わすわけじゃなく、ただ二人で通学路を歩く。

 いつも歩いている通学路なのに、暁槻君がいるという事実だけで緊張する。

 お願いだから、早く学校に着いて……!

 いたたまれない気持ちが膨らみ、暁槻君とはいられないと心が叫んでいる。

 どうせ学校でも席が隣なんだから、今逃げてもダメだろって言われそう。

 でもまだ、学校には立夏ちゃんや他のクラスメイトもいるから、ここまで緊張しない。

 その願いが届いたのか、私の頭が緊張で働かなかったからか、いつの間には学校の校門が見える位置まで来ていた。

 ふぅ……とりあえず、ちょっとは息が吐ける。

 登校中の生徒さんがたくさんいるから、さっきよりは大分緊張が薄まった。