そんな生活をしていく内に、うんざりしていった。

 どうしてこんな生活をしなければならないのか。

 毎日同じような生活を送っているから、つまらない生活から抜け出したかった。

 俺は地位には興味ない。自由が欲しかった。

 だからある日、自分の正体を隠して城下町に降りた。

 俺はまだ十五の未成年で、顔は公表されていなかった。俺の地域だけが、そういうルールだったのかもしれないけど。

 一応カモフラージュの為に、庶民が来ている着物を身にまとって外に出る。

 城の中にいてもつまらない。だったら、何かしらのリスクを承知の上で冒険をしてみたかった。

 万が一の事を考えて、人が少ない道を選んで初めて見る景色に胸を躍らせる。

 城下町の景観を知らなかったからか、騒ぎ出しそうな気持ちを必死に抑えていた事を今でも鮮明に思い出す。

 その時に、大きな湖へと足を運んだ。

 ……そして、出会ったんだ。

『誰、ですか……?』

 ――桜華という、最愛の女の子に。

 桜華を最初に見た時、天使が舞い降りていたのかと驚きを隠せなかった。