だって、あんなにかっこいい人が私なんかに……。

 私と暁槻君。

 彼とは正反対な私、平凡な私なのに……。

 どうして彼が、あの時私を助けてくれたのか分からない。

 もしかしたら、純粋な善意なのかもしれない。

 でも、私はきっと彼に関わらないほうが良い。次元が、生きている世界が違うんだから。

 ……期待しないほうが、いいはずだ。

 ――同じ苦しみを、味わいたくない。

「……え?」

 何、さっきの……。

 同じ、苦しみって……。

 自分の頭に浮かんできた言葉に、否応なしに疑問が募る。

 どういう、事……私は何の苦しみを味わったって言うの……?

 暁槻君とは初対面で、赤の他人。ただのクラスメイト。

 それなのに何で、助けてもらった時違和感を感じたんだろう。

 ……どうして、暁槻君を懐かしいって思うの?

 そう思ったところで、スマホのアラームが鳴った。

 ……っ!

 そのアラームに驚いたけれど、おかげで我に返る事ができた。

 きっと、昨日余分にアラームをかけたんだ。