「元はと言えば俺が校舎案内を頼んだから、京都さんをこんな時間にまで付き合わせちゃったんだから。ね、俺に送られてよ。」

 口ごもった私に、気を遣わせないような言い回しで言ってくれる暁槻君。

 その言葉に私はもう何も言えなくなり、大人しく首を縦に振った。

「じゃ、じゃあ……お願いします。」

「うん、夜が深くなるまでに帰ろうか。家の方向どっち?」

「こ、こっちです。」

 指で家の方向を指し、暁槻君の隣で歩く。

 男の子と帰るなんて……この人生で絶対にないものだと思っていた。

 今日は初めての事ばかりだなぁ……。

 でもここまで私に関わって来た男の子は、暁槻君が初めてだ。

 こんなに男の子と関わるだなんて、思ってなかった。

「ねぇ、京都さん。変な事なんだけどさ……聞いてもいい?」

 へ、変な事……?

 どういう意味で変な事なのか見当がつかないけれど、聞いてみたい気持ちもあるから頷く。

「だ、大丈夫ですよ。」

 暗い中だから、暁槻君の顔は見えにくい。

「ありがとう。」