暁槻君の質問に、言葉を洩らす。

 それ……立夏ちゃんにも言われた。

 どうして敬語なのかって聞かれても、私は……。

「敬語のほうが何だか落ち着くんです。私には、こっちのほうが合ってる気がして。」

 昔からの癖と言うか、何と言うか……。

 でも、私は敬語は一生外せないと思う。

 もう、体に染みついてしまっているから。

「そうだったんだね。……変わってない、な。」

「暁槻君、何か言いました?」

「ううん、何でもないよ。」

 そ、そうかな……?さっき何か聞こえた気がするけれど。

 だけど本人がこう言うって事なら、きっと本当に何でもないんだよね。

 そう割り切って、その後もちゃんと校舎案内をした。