「離すわけないでしょ、大好きだよ。」

 再び私の耳元で囁いた雅君。

 そんな彼の姿に、私もふふっと幸せな笑みを零した。

 私も、大好きっ……。

 そう言おうと、したのに。

「私も……雅君のこと、もう離さないです。ずっと、捕まえますっ……。」

 思ったよりも重たい言葉が自然と出てきて、慌てて口を押える。

 わ、私何言って……!?

 こんな大胆な事言うなんて予想していなかったから、私でさえも驚く。

 それが引き金になったのか、雅君はまたもや意地悪な笑みを見せた。

「そんな可愛い事言える余裕あるんだったら、もっと愛させて。余裕なくしてあげる。」

「み、雅君待ってくださっ……!ホームルーム始まりますっ……!」

「まだ時間大丈夫だよ。さっきのは咲桜が煽ったんだから、責任取ってよね。」

 慌てる私とは裏腹に、余裕のなさそうな声を洩らす雅君。

 何をされるのかが容易に分かって、抵抗をやめる。

 そして次の瞬間――私には甘くて優しいキスの雨が降ってきた。