「私も……雅君がいなきゃ、ダメですっ……。」

 その言葉が、まともに受けられなかった。

 というか、信じられなかった。

 その言い方って、まるで……。

「さっきの言葉……告白って受け取っても、いいの?」

 ――告白、みたい。

 恐る恐るそう尋ねてみると、咲桜は何かを考えながらもこんなカミングアウトをした。

「……っ、実は私……桜華としての記憶、取り戻したんです……。」

「っ……!?」

 まさか今、そう言われるとは思ってなかった。

 本当に、取り戻したの……?

 驚きを通り越して、言葉が喉につっかえて出てこなくなる。

 すると咲桜は決心したように、ゆっくりと教えてくれた。

「火事で記憶を取り戻して、全部思い出しました。私が桜華だったことや、一回火あぶりで死んでしまった事……。雅君が埜雅さんだってことも、思い出しました。」

 やっぱり、火事なのか……。

 杠葉さんと別れた後、俺は急いで咲桜を追いかけた。

 その道中、火事が起きていた家の前を通った。

 それと同じようなタイミングで、嫌な予感が脳裏を駆け巡った。