生まれ変わっても絶対、君しか愛さない。

 それに気付いたのは、背後から聞こえた杠葉さんの声。

「暁槻、言っとくけどね。」

 そう切り出した彼女に視線を動かすと、真剣そうな瞳と交わった。

 まっすぐ見据えていて、何かを決意したかのようなものにも見える。

 その直後に杠葉さんは俺から視線を外し、口を動かした。

「あたしの記憶は、咲桜とあんたが出会ってから取り戻したものよ。つい最近ってわけ。だから……あたしが咲桜を想う気持ちは、前世とはまた違うものなの。それだけは、誤解しないでちょうだい。あんたも、これ以上咲桜に誤解を与えないほうが……良いんじゃないかしら。」

 それだけいうと、杠葉さんは颯爽と教室を出ていった。

 その場に残された俺は、さっきの言葉を心の中で反芻させる。

『これ以上咲桜に誤解を与えないほうが……良いんじゃないかしら。』

 まさかそんな助言をくれるとは思っていなかったけど、彼女なりに心配してくれているんだろう。

 ……だなんて、流石に自意識過剰すぎか。

 杠葉さんは咲桜大好きな人だし、そう簡単には許してくれないよね。