生まれ変わっても絶対、君しか愛さない。

 ……だけどそれじゃあ、ダメだって気付けた。

『私には、前世の記憶なんてないです。』

 その言葉を心の中で反芻し、最後に一息だけ吐く。

 それを引き金にして、俺はため息を吐くのをやめた。

 ……記憶なんか、引きずっていたってダメだ。

 桜華は前世で、今は咲桜だ。

 俺は咲桜のいじらしい姿と優しすぎる性格が故に、好きになった。

 現世で惚れ直したといっても、過言じゃない。むしろ、その言葉がしっくりくる。

 今咲桜に言えば、言い訳だと跳ね返されてしまうだろう。

 それどころか強引な手を使ったから、話もしてくれないかもしれない。

 ……それでも。

 そうなっても俺は絶対、咲桜を諦めない。

 ちゃんと話をして誤解を解いて、はっきり言わないといけない。

 桜華じゃなく、咲桜として君を好きになった。もう一度、君に落ちた。

 俺は君だけが好きだ……って。



 その翌日から、やっぱりというか咲桜はあからさまに俺を避けだした。

 登校する時も咲桜は先に行っているようだし、下校時はすぐに帰ってしまう。

 昼休憩だって、咲桜が教室にいる姿を最近は見ていない。