「後先考えずに行動するの、良くないと思うよ。それこそ、“前”みたいになっちゃうからね。」

 前……?

 もしかして、こいつ……。

「前世の記憶、持ってるのか。」

「流石じゃん、お殿様。そうだよ、俺も前世の記憶あるんだよね~。俺のこと、覚えてるかな?」

「覚えてるわけない。お前になんか興味ない。」

 俺の言葉に、こいつは案外あっさり白状した。

 こいつを見た時も思ったけど、やっぱり分かって突っかかってきていたんだ。

 咲桜に付きまとっていたのは、現世でも桜華を見つけたからだろう。

『桜華ちゃん、美味しいお団子屋さんあるんだけど……一緒に行かない?』

『あいつなんかやめて、俺にしたらいいと思うけど。』

 ……最悪な事、思い出したな。

 前世のこいつの言葉が蘇り、ちっと舌を打つ。

「お殿様さぁ、舌打ちするのは良くないと思うなぁ~。というか、現世でも馬鹿してるの?どれだけあの子を悲しませれば、気が済むのかな?」

「悲しませようと思って悲しませてるわけじゃないだろ……っ。俺は誰よりも、咲桜を愛して――」