名前呼びしあうようになって、もうすぐ三日が経つ。

 急に私たちが名前を呼びをしだしたからか、立夏ちゃんは凄く驚いていた。

『な、何で暁槻と名前呼びしてるのよ……!咲桜って呼んでいいのは、あたしだけの特権なのに……!』

 何回もそう言われて、あははと乾いた笑みしか零れない。

 もしかして立夏ちゃんも、雅君と仲良くなりたいのかな……?

 一瞬そう考えたけど、あの様子からは違う気がする。

 気のせいかもしれないけど、何て言うか……立夏ちゃんは未だ、雅君を目の敵にしているような……。

 二人に仲良くなってほしいとは思うけど、それは難しそうだっ……。

「ごめん咲桜、今日用事があっては家まで送れないんだ。」

 いつも通り、雅君と帰ろうと彼の元に向かう。

 けれどはっきりと、そう言われてしまった。

 し、仕方ないよね……雅君は暁槻グループの御曹司だから、用事なんていくらでも。

 頭では分かっているはずなのに、心は相反するように悲しみに苛まれる。

 雅君と帰れないだけなのに、どうしてこんなに苦しくなるんだろう……。