でも……京都さんがそう、了承してくれた。

 それだけでも、また仲良くなれる進展だと思った。

「うん、ありがとう。じゃあ俺も、咲桜って……呼んでいいかな?」

「い、いいですよっ……。」

 俺の言葉を聞いた京都さんは、少しだけ頬を染めて返してくれた。

 視線を下に動かしているはずなのに、心臓を鷲掴みにされた気分になる。

 それほど京都さんに、咲桜に……惚れ込んでいる、って事なんだろうな。

『埜雅さんとお話するの、大好きですっ!』

 またそう言ってくれる事を、願いそうになる。

 ……いや、もう引きずるのはよそう。

 桜華としてじゃなく、気付かぬ内にもう俺は――咲桜として彼女を好きになっていたから。